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コンドーテック(7438)は、これからも増配を続けられそうか

📖 約21,100文字(まずは「30秒で要点」だけでも。じっくり読むと約28〜41分)

工事現場の足場や、鉄骨をつなぐ金物を手がけるコンドーテック(7438)を、17期分の決算資料で見てみました。

☕ まずは30秒だけ

コロナ禍で利益が半分近くまで減った年にも、この会社は配当を増やしていました。株式分割をそろえた基準で13円だった年間の配当は、いま52円。利益が減った年に、なぜ配当を増やせたのか。この「なぜ」が、今回の記事の出発点です。

コンドーテック(7438)は、工事現場に欠かせない金物や資材を製造・販売し、足場の工事まで手がける、大阪に本社を置く会社です。この増配は、これからも続きそうか。リーマン・ショック直後の2010年3月期までさかのぼって、17期分の決算資料で順番に確かめていきます。

(お忙しい方は、太字の見出しだけ拾えば30秒で大筋がつかめます。気になったら下へどうぞ。)

ざっくり言うと

コンドーテックは、1953年に生まれた会社です。いまはアンカーボルトやターンバックルといった建設用の金物を作って売り、電設資材の販売や足場工事まで、グループ11社で建設現場まわりの4つの事業を営みます。販売先はグループで2万社を超えます。決算は3月です。

利回りは?

2026年3月期の実績配当52円(決算短信より)を、株価1,688円(2026年9月4日の東京証券取引所の終値)で割ると、約3.0%です。会社が予想する2027年3月期の配当58円で計算すると、約3.4%です。(実績の配当と会社予想の配当で計算した参考の数字です。株価で変わりますし、将来の配当・利回りを約束するものではありません。いずれも税引前の数字です。)

配当は年2回(中間と期末)です。3月末時点で500株以上を持つ株主には、商品と交換できるポイントの株主優待もあります(内容は会社が変更・廃止する場合があります)。

おさえどころ3つ

① 配当は13円から52円へ。確かめた期間(17期)では、減配はありませんでした。

会社は「上場来減配なし」(上場は1995年)と説明会資料に掲げています。確認した17期分の短信でも、株式分割をそろえた基準で一度も減配していません。純利益が半分近くまで減ったコロナ禍の2021年3月期も、29円から31円へ増やしています。

② 稼ぎの主役は、建設現場まわりの4つの事業。全社は増収増益、ただし2つの事業は減益でした。

産業資材・鉄構資材・電設資材・足場工事の4区分です。売上はどの事業も増えました。ただ利益は、産業資材と電設資材が増益、鉄構資材と足場工事は人件費などの費用の増加を吸収しきれず減益と、事業ごとに差が出ています。

③ 会社はDOE4.0%以上を中長期の目標に、継続的な増配を方針に掲げています。

DOE(純資産配当率)は、これまでに積み上がった株主の取り分(純資産)に対して、どれだけ配当を出しているかの割合です。利益を積んで純資産が増えるほど、配当も増やし続けられる——それが会社の説明する増配の仕組みです(くわしくは📖の章で)。実績のDOEは3.6%。中期経営計画の資料には、累進配当(減配をせず、配当を維持または増やす方針)の言葉もあります。会社は2027年3月期の配当を58円(6円の増配)と予想しています。

この3つが、これからどうなるか。確かめに使う数字は📌の章に置きました。はじめに、どんな商売で稼いでいる会社なのかから入りましょう。

(この記事は、ひとりの観察者ミーナの記録です。売買をすすめるものではありません。数字は会社の公表資料に基づきますが、正確性は保証しません。投資の判断はご自身で。)

🏢 コンドーテックってどんな会社?

駅前の工事現場で、建物をぐるりと囲む足場や、白い仮囲いを見かけたことがある方も多いと思います。ああした現場に欠かせない金物や足場の部材を、作って、仕入れて、届けてきたのが、コンドーテックです。

ひとことで言うと、「工事現場の金物と資材を、作って売る会社」です。1953年に株式会社近藤商店として生まれ、1989年にいまの社名に変わりました。本社は大阪市で、東京にも本社を置く2本社の形です。1995年に大阪証券取引所へ上場し、いまは東証プライム市場。決算は3月です。

取り扱う商品は約5万点。販売先はグループで2万社を超えます。会社の商流図によると、自社の工場とOEM生産(外部委託の製造)でまかなう分は約30%。残りは、建築・土木関連のメーカーや電材・機材のメーカー、海外などから仕入れています。自分たちで作る商品と仕入れる商品の両方を持ち、全国106の販売拠点から素早く届ける。この体制が商売の特徴だと会社は説明しています。

事業は4つの区分で開示されています。いちばん大きいのが産業資材で、売上の47%。金物店や問屋、ホームセンターなどへ、吊り具・チェーン・ネット・シートなど土木や建築の資材を販売します。次が鉄構資材の26%。鉄骨加工業者向けに、建物と基礎をつなぐアンカーボルトや、地震の揺れに突っ張る筋交いのターンバックルブレースなどを製造・販売します。自社製品には、シェアの高いものが並びます。ターンバックルブレースで38.9%、アンカーボルトで33.7%。橋や高速道路の工事で足場を支える足場吊りチェーンは、74.1%です。いずれも会社が説明会資料に記す2025年3月期のシェアです(会社の「当社調べ」の値です)。シェアの高い商材が高い利益水準につながっていると、会社は説明しています。ターンバックルブレースは、駅のホームの屋根でも使われているそうです。

残る2つは、電設資材の15%と足場工事の12%です。電設資材は、電気工事業者や家電小売店向けの照明・電線・空調など。足場工事は、現場で働く人の安全を支える足場の架払(かけばらい)工事を請け負い、機材のレンタルも行います。建てるときの基礎の金物から、建てた後の修繕を支える足場まで、資材と工事の両方で関わる形です。

この商売が17期の配当をどう支えてきたのか、数字から見ていきましょう。

📊 数字でみる ― 配当は13円から52円へ

まずは全体像です。連結決算が始まった2011年3月期を起点にすると、売上は355億円から839億円になりました。純利益は8.3億円から33.0億円です。1株あたりの配当は、株式分割をそろえた基準で13円から52円。利益も配当も、およそ4倍です(その前の2010年3月期は連結決算がなく、単体で売上273億円・純利益6.6億円でした)。

利益と配当の足取りがそろっていたことは、配当性向(利益のうち配当に回す割合)にも表れています。2013年3月期からの8期は、20%台が続きました。ただ、直近の3年だけは形が違います。純利益が32.6億円から33.0億円までほぼ横ばいのまま、配当は40円から52円へ3割増えました。この3年の増配は、会社が2023年に配当の目標を引き上げた時期と重なっています。どういうことかは、📖の章でたどりますね。

1株配当と純利益の推移(2010年3月期〜2026年3月期) 棒グラフが1株配当(右の目盛り・円・ゼロ起点・株式分割調整後)、折れ線が純利益(左の目盛り・億円・ゼロ起点)。1株配当は13円から52円へ17期一度も減配していない。純利益は6.6億円から33.0億円へ増えたが、2021年3月期は15.6億円へ半分近くまで減った。その年も配当は増えている。2012年3月期の13.5円と2016年3月期の22円には記念配当を含む。 0億0円 6億10円 12億20円 18億30円 24億40円 30億50円 36億60円 配当 52円 純利益 33.0億円 2010 2014 2018 2022 2026 1株配当(右の目盛り・円・分割調整後)純利益(左の目盛り・億円)

(各年3月期。棒=1株配当〔右の目盛り・円〕、線=純利益〔左の目盛り・億円〕。どちらもゼロ起点です。1株配当は、2012年1月1日付の株式分割〔1株→2株〕をいまの株数にそろえた換算値です。2010年3月期は連結決算が始まる前のため、純利益は単体の数値です。2012年3月期の13.5円と2016年3月期の22円には記念配当を含みます。出典:各年 決算短信・有価証券報告書)

表A 純利益・配当・配当性向・自己資本比率(17期)

純利益(億円) 1株配当(円・調整後) 配当性向 自己資本比率
2010/3 6.6 13.00 50.7% 60.6%
2011/3 8.3 13.00 40.4% 54.9%
2012/3 10.4 13.50 33.4% 53.2%
2013/3 16.0 14.00 23.0% 54.5%
2014/3 19.9 15.50 21.5% 54.4%
2015/3 20.9 20.00 26.3% 57.4%
2016/3 22.3 22.00 27.2% 60.8%
2017/3 24.9 23.00 24.7% 62.1%
2018/3 25.2 24.00 25.5% 62.8%
2019/3 27.4 26.00 25.3% 61.0%
2020/3 28.7 29.00 27.0% 61.2%
2021/3 15.6 31.00 52.0% 58.7%
2022/3 22.8 32.00 36.7% 53.7%
2023/3 24.1 34.00 35.9% 53.8%
2024/3 32.6 40.00 31.2% 55.6%
2025/3 32.7 46.00 35.9% 55.7%
2026/3 33.0 52.00 40.3% 55.7%

表Aの配当の列を上から下までたどっても、減配した年はひとつもありません。純利益がへこんだ2021年3月期も増配で、その年の配当性向は52.0%まで上がりました。利益の振れを、配当性向の上げ下げで受け止めてきた形です。その配当性向は、2024年3月期の31.2%を底に、2期続けて切り上がってもいます。高くなるほど、利益から配当に回したあとの余裕は小さくなります。この意味は、⚖️の章で考えます。

その配当を支えるキャッシュ・フロー(現金の出入り)も確かめたいので、表をもうひとつ用意しました。

表B キャッシュ・フローと配当の支え(17期)

営業CF(億円) 投資CF(億円) 現金期末(億円) 配当金総額(億円) DOE
2010/3 11.0 △14.3 32.3 3.3 2.4%
2011/3 12.1 △3.2 33.9 3.3 2.3%
2012/3 14.5 △15.1 27.9 3.4 2.4%
2013/3 20.7 △4.9 47.9 3.7 2.3%
2014/3 18.8 △6.6 56.3 4.3 2.4%
2015/3 18.1 8.2 76.2 5.5 2.8%
2016/3 19.4 △8.2 75.9 6.0 2.9%
2017/3 27.3 △6.4 86.6 6.1 2.8%
2018/3 24.2 △5.0 98.9 6.4 2.7%
2019/3 26.9 △15.5 101.3 7.0 2.7%
2020/3 43.8 △52.0 83.0 7.7 2.8%
2021/3 41.9 △22.6 113.1 8.1 2.8%
2022/3 12.2 △23.7 101.6 8.3 2.8%
2023/3 39.6 △13.8 107.3 8.6 2.8%
2024/3 42.1 △20.5 118.3 10.2 3.1%
2025/3 58.4 △16.9 154.7 11.7 3.3%
2026/3 27.9 △28.0 154.8 13.3 3.6%

本業で稼ぐ現金は、17期どの年も黒字でした。手元の現金は32億円から154億円へ増えています。2026年3月期でみると、配当金総額13.3億円は営業CF27.9億円の半分以下です。ただしこの年は投資も28.0億円あり、営業CFから投資を引いた残りはほぼゼロでした。投資と配当をあわせた出のほうは、手元の現金と借入も使って進められています。くわしくは⚖️の章で見ます。

セグメント別(億円)

セグメント 売上(2026/3) 利益 2024/3 利益 2025/3 利益 2026/3
産業資材 395.3 26.8 24.5 27.2
鉄構資材 216.0 15.2 13.9 12.5
電設資材 129.3 3.2 4.1 5.6
足場工事 98.7 1.9 2.4 1.3

並べると、事業ごとの差が見えてきます。産業資材の増益は「高付加価値製品の拡販や売上総利益率を意識した営業活動」によるものと、会社は短信で説明しています。電設資材の増益も「戦略的な営業活動と全社的な経費削減の取り組み」の結果とされています。電設資材には、2027年に蛍光灯の製造が中止されるのを前にした、LED照明への切り替え需要も追い風でした。一方、鉄構資材は3期続けて減益、足場工事も2026年3月期は前の年の半分近くへ減りました。4つとも売上は増えているのに、利益の出方が分かれる——この背景は、あとの⚖️と🔍の章で見ていきます。まずは、この配当がどう積み上がってきたのかからです。

📖 増配の歩みを、会社の言葉でたどる

ここからは、各年の決算資料で会社自身がどう説明してきたかを、時系列でたどってみましょう。(この章の記述と鉤括弧の引用は、各年の決算短信・有価証券報告書によります。配当は分割をそろえた換算値で書きます。)

2010年〜2012年:営業利益が半分になった年も、配当は据え置きで守られました

出発点の2010年3月期は、リーマン・ショックの影響が直撃した年です。売上は17.8%減り、営業利益は51.1%減の9.3億円。会社は「役員報酬の減額をはじめ販売管理費の削減を全社的に取り組み」と記しています。それでも配当は前の年と同じ13円(当時の実額で26円)。当時の方針は「配当性向を勘案し、安定配当を目指す」で、配当性向は50.7%まで上がりました。

2010年4月に電設資材卸の三和電材を完全子会社化し、翌期からグループの連結決算が始まります。2011年3月期は東日本大震災で、一部の事業所・工場に建物の損壊が生じました。それでも「鋭意復旧に努め、平成23年3月中に通常どおりの販売、生産体制」に戻したと短信にあります。2011年4月には、東京・大阪の両証券取引所で市場第一部に指定されました。

2012年3月期は「復旧・復興需要による売上増と売上総利益率の改善」で営業利益51.0%増。市場第一部指定の記念配当1円(いまの株数の基準では0.5円分です)が加わり、配当は換算で13.5円になりました。ここが、いまも続く連続増配の1年目です。ただし増えた0.5円分は記念配当です。記念配当を除くと、前の年と同じ13円でした。

2013年〜2019年:純利益は16億円から27億円へ。配当の目安がDOEに変わりました

復興需要と都市部の建設需要を追い風に、純利益は2013年3月期の16.0億円から2019年3月期の27.4億円へ増えていきます。配当も14円から26円へ。この間の2015年、有価証券報告書の配当方針が「連結純資産配当率(DOE)2.5%以上を目標として、株主の皆様へ継続的・安定的に配当を行う」に変わりました。利益に連動しやすい配当性向でなく、純資産を分母にするDOEを目安に置いた、最初の一歩です。2016年3月期には、上場20周年の記念配当2円も出ています(普通配当は前の年と同じ20円でした)。

株式の数にも、この時期に動きがありました。2012年12月の公募増資などで6%あまり増え、2014年と2018年の自己株式の消却で減っています。期中平均の株式数でみると、2011年3月期といまはほぼ同じ水準です(開示値から算出)。だから、この記事で並べる1株あたりの配当は、株数の増減にほとんど左右されずに比べられます。

2020年〜2021年:コロナ禍の年に、方針の言葉が「増配」に変わりました

2020年5月の決算短信で、配当方針の文がもう一段変わります。「継続的・安定的に配当を行う」が、「継続的に増配を行うことを基本方針」に。あわせて、ROE(自己資本利益率=株主の元手でどれだけ利益を出したかの割合)10.0%以上の目標も掲げました。会社の説明はこうです。「毎期一定以上の利益を計上することにより、配当額決定の基礎となる純資産が増加する結果、継続的な増配が可能となる」。利益で純資産を積み、増えた純資産に応じて配当を増やす。会社がこの仕組みを宣言したのは、コロナ禍が始まった年でした。

その言葉は、すぐに試されました。2021年3月期は、コロナの影響で減収になりました。のれん等の減損損失8.2億円(買収した事業の帳簿上の価値を切り下げる損失です)も重なり、純利益は45.7%減の15.6億円。それでも配当は29円から31円へ増やしています。配当性向は52.0%。「一時的な利益の増減に左右されず安定的な配当の実現を可能とする指標」というDOEの説明が、言葉どおりに機能した年でした。

2022年〜2026年:DOEの目標が2.5%以上から4.0%以上へ。増配の速度が一段上がりました

2022年3月期からは、資材価格の高騰分を販売価格へ転嫁する動きと、買収した会社の売上が業績を押し上げます。2023年3月期は増収増益となる一方で、のれんの一部で6.1億円の減損もありました。そして2023年5月。会社はこう発表します。「2024年3月期以降の利益配分に関する基本方針につきましては、目標とする連結純資産配当率(DOE)を4.0%以上に引き上げることといたしました」。このお知らせを境に、増配の幅は年6円へ広がりました(直前の3年は1〜2円でした)。2026年3月期のDOEは3.6%。目標の4.0%以上へは、まだ途中です。

会社は説明会資料で「上場来 減配なし、16期連続の増配を予定」(2027年3月期の予想を含む数え方)と掲げています。記念配当は、会社自身が短信の注記や説明会のグラフで、普通配当と分けて開示してきました。それに沿って記念配当を除いて数えると、連続増配の入口の2012年3月期と、上場20周年の2016年3月期は、前の年と同じ額になります。連続増配は年間配当の合計で見た数え方で、記念配当を除くと据え置きの年が2回ある——会社が分けて示しているとおりの姿です。減配は、どちらの数え方でも一度もありません。

ここで、冒頭の話の答え合わせをしましょう。13円が52円になった中身は、大きく2つ。連結が始まった2011年3月期からの15年で、利益がおよそ4倍に育ったこと。そして2023年にDOEの目標が引き上げられ、増配の幅が年6円に広がったことです。会社が段階を追って配当の目安を強くしてきた歴史が、そのまま数字に表れています。

🧭 会社はこれからをどう描いているか

次は、会社が示している計画です。この章に出てくる目標や計画はすべて会社が公表しているもので、達成が約束されたものではありません。(出典:長期ビジョンVISION2040〔2024年5月〕、中期経営計画〔2026年5月14日修正〕、2026年3月期 決算短信・決算説明資料)

会社は「人材育成」と「社会貢献」の2つを経営の基本方針に置き、中期経営計画を「成長戦略」「経営基盤強化」「資金配分」の3本で組み立てています。

2040年の目標は売上3,000億円。手前の中期経営計画は、2029年3月期に売上1,000億円です

2024年に定めた長期ビジョン「VISION2040」の財務目標は、2040年の売上高3,000億円。うち600億円は、まだ売上として立っていない新規事業に置かれています。環境や多様性といった、社会的価値の目標も並びます。2026年3月期の売上839億円からみると、14年で3.5倍という大きな目標です。

その手前の中期経営計画は、毎年見直すローリング方式です。最終年度の2029年3月期の目標は、売上高1,000億円・営業利益53億円。純利益は36.5億円で、ROEは10.0%以上です。「2020年代中の連結売上高1,000億円達成に向け、増収増益を目指す」と資料にあります。

直近1年の計画と実績も並べてみます。2026年3月期は、売上839億円と純利益33.0億円がわずかに届きませんでした(計画比マイナス1.2%と1.4%)。営業利益46.4億円は、1.0%上回りました。純利益の小幅未達は、これで2期続いています。計画そのものも、毎年動いています。今年5月の見直しでは、2027年3月期の売上目標を895億円から910億円へ上げ、営業利益の目標49.5億円は据え置きました。2年前の版の51.0億円と比べると、利益の見立ては控えめになる方向の修正です。会社はその理由を、各種コストの上昇に加えて、人と設備への投資が「比較的高水準で継続する」ためと説明しています。人への投資とは「従業員の待遇面や職場環境の改善など人的資本関連投資」、設備投資は倉庫の拡充や機械化・自動化です。

このうち、配当への道筋にあたる部分を、私は3つの方向で読みました。

1つ目の方向 ― いまの4つの事業を広げる。会社は営業1人あたり月平均1社の新規開拓を続けていると説明します

販売拠点は106になりました。アンカーボルトの施工を請け負って建築の初期段階から現場に入り、その後に必要な資材の情報をつかむ。こういう営業の形も、資料で説明されています。アンカー施工の売上は14.4億円から16.6億円へ増え、2027年3月期の会社計画は18.0億円です。災害復旧の資材に即応する体制も、この事業の顔のひとつです。自然災害関連資材の売上は、2012年3月期の35.7億円から62.9億円になりました(会社開示)。

2つ目の方向 ― M&A。2010年から9社を仲間に加えてきました

直近の2025年には、2社が加わりました。鈴東は、工事現場を囲う仮囲い材「安全鋼板」を考案した会社です。製造の内製化とレンタルを広げ、鈴東が請け負った工事を足場工事セグメントが担う協業も想定されています。直近期の業績は売上27.3億円・営業利益0.6億円で、利益への寄与はこれからです。琉球ブリッジは、沖縄県の建設資材の会社です。海外はタイを拠点にASEANへ広げる方針ですが、海外売上は3.3億円から2.8億円へ減り、全体の0.3%でした。会社は2027年3月期に4.3億円へ増やす計画です。

3つ目の方向 ― 株主還元。3年間で47億円+αを配当と自己株式取得に充てる計画です

3年間の資金配分は、設備投資100億円・戦略投資(M&A)30億円・株主還元47億円+α。手元資金は130億〜150億円を保つ計画です。中期経営計画の資料には「継続的増配(累進配当) 目標:DOE4.0%以上」とあります。いっぽう決算短信の配当方針に、「累進配当」という言葉は出てきません。短信の言葉は「中長期的な目標である連結純資産配当率(DOE) 4.0%以上を念頭に、株主の皆様へ継続的に増配を行うことを基本方針としております」。こちらが正式な方針の文で、いつまでに4.0%へ届かせるかの年限は示されていません。つまり、どの文書の言葉も会社の方針であって、将来の約束ではありません。私はその前提で読んでいます。

会社は、自社の立ち位置も両面で開示しています。ROEは「株主資本コストを上回っており一定の資本収益性を有しているが、直近は低下傾向にありプライム市場平均を下回る」。低下の要因は「売上高当期純利益率が低下傾向にあること」との分析です。2026年3月期のROEは8.8%。自社の株主資本コスト(6.8%)は上回る一方、目標の10.0%は2期続けて下回りました(2024年3月期は10.0%で達成しています)。

この計画を、配当の目線ではどう読めばよいのか。次の章で、両面から並べます。

⚖️ 気をつけたいところと、支えになりそうなところ

気をつけたいところ

① 直近3期の純利益はほぼ横ばい。それでも配当は3割増え、配当性向は40.3%まで上がりました。

この3年、純利益は32.6億円から33.0億円へ。ほぼ横ばいです。その間に配当は40円から52円へ、3割増えました。DOEの目標引き上げと、増配の加速が重なった3年です。結果として、配当性向は31.2%から40.3%へ上がりました。2027年3月期の会社予想も同じ形で、利益の伸びより配当の伸びが大きく、予想の配当性向は43.7%です(会社開示の値)。

この形が続くには、どこかで利益の伸びが追いつく必要があります。ただ、中期経営計画の目標を並べると、2029年3月期の純利益36.5億円は、3年で約1割の増加。年6円の増配ペース(2027年予想で11.5%増)より、ゆっくりした伸びです(いずれも開示値から算出)。だから私は、増配の幅より先に、利益の伸びを見ることにしています。2027年3月期の第1四半期(2026年8月7日発表)は、営業利益34.9%増でした。減益で組まれた上期計画を、上回る出だしです。通期の業績予想と配当予想は、据え置かれています。

② 買収で大きくなってきた分、のれんの減損が過去に2回。純利益が半分近くまで減った年の一因でした。

この17期の売上の伸びには、9社のM&Aが含まれます。買収には、のれん(買収額のうち、相手の純資産を上回った分)がついてきます。買収した事業が想定どおりに稼げないと、のれんは減損という損失になります。実際、2021年3月期に8.2億円、2023年3月期に6.1億円の減損がありました。前者は、純利益が半分近くまで減った年の一因です。のれんを含む無形固定資産は35.2億円残っており、2025年に2社を加えたいまも、この構図は同じです。

③ 鉄構資材は3期連続の減益、足場工事も営業利益が半分近くに。費用の上昇が続く前提で、来期の計画が組まれています。

鉄構資材のセグメント利益は、2023年3月期の17.1億円から2026年3月期の12.5億円へ、3期続けて減りました。売上は増えているのに、です。会社の説明は、競合との価格競争が激しいなかで売上総利益率は横ばいにとどまり、人件費や運賃を中心に費用が増えたこと(2026年3月期短信より)。足場工事の営業利益も1.3億円と、前の年の半分近くでした。こちらは、外注に出す工事の比率が上がって売上総利益率が下がったことに、賃借料・人件費の増加と、上田建設の子会社化に伴う費用が重なったためです(短信より)。いっぽうで、工事の受注残は23.7億円から25.0億円へ増えています。ただし足場工事は機材をそろえて貸し出す事業で、償却前の利益(EBITDA)でみると10.1億円と前の年並みです。営業利益の薄さには、機材投資の減価償却が先に立つ構造も効いています。

2027年3月期の会社計画では、全社の増益3.0億円に対して産業資材の増益が3.9億円。鉄構資材と電設資材は減益、足場工事は小幅の増益の計画です。第1四半期の実績では、鉄構資材の減益は小幅(2.5%減)になりました。第1四半期は例年赤字になりやすい足場工事(説明会資料の四半期別データより)も、赤字幅が前年同期より縮んでいます。こうした費用の一部は、待遇改善や倉庫・機械化への投資として続けるつもりだと、会社は説明しています(🧭の章)。投資が利益に返ってくるかを見る局面です。

④ 需要の元をたどると、4つの事業は建設投資と重なります。新しく建てる量は、国内では減っています。

鉄構資材・電設資材・足場工事は、建設の現場に直結する事業です。産業資材の売り先は金物店や問屋が中心で、直接の建設業向けは4%です。売り先の業界は広い一方、商材の多くは土木・建築の資材です。会社は経営環境の変化への対処を、「リスクと機会」の両面で語っています。挙げられた影響には「国内市場の停滞と新設建造物の大型化」「新設工事の減少と維持修繕工事の増加」があり、国土強靭化や省人化需要の増加も同じ並びにあります。実際の統計は🔍の章で確かめました。新設住宅の着工も、鉄骨造の床面積も、この10年あまりで3割前後減っています。

⑤ 有利子負債は10年で5億円から80億円へ増えました。自己資本比率も7ポイント下がっています。

有利子負債は、2016年3月期の5.0億円から80.1億円になりました(説明会資料の11期表より)。自己資本比率も、2018年3月期の62.8%から55.7%へ下がっています。買収と設備投資、そして増配を同時に進めてきた結果です。設備投資には、2025年に建て替えた大阪本社ビルのような一度きりの支出や、レンタルで回収していく足場機材も含まれます。営業CFから投資を引いた残りがマイナスの年も、直近7年で3回ありました(📊の表B)。手元の現金が有利子負債を上回る状態は保たれ、自己資本比率も第1四半期末には58.3%へ戻しています。それでも、金利や業績の前提が変わったときには、投資か還元のどちらかが調整の対象になりうる構図です。

支えになりそうなところ

① 確かめた17期に減配はなく、会社は「上場来減配なし」と説明しています。方針の変更は、そのつど文書で開示されてきました。

17期分の短信で、一度も減配していません。方針は、2015年のDOE2.5%以上、2020年の「継続的に増配」、2023年の4.0%以上への引き上げと段階を追って強くなり、変更のたびに開示文書が残っています。社員の側の数字も、会社は説明会資料で紹介しています。社員持株会の加入率は64%で、会社が東京証券取引所「2024年度従業員持株会状況調査」を引いて示す上場企業平均(40%)や卸売業平均(54%)を上回ります。OBについても、会社は「企業年金代わりに保有しています」と説明しています。※過去の実績と会社の方針は、将来の配当を約束するものではありません。方針そのものも、会社の判断で変わりえます。

② 手元の現金154億円が、有利子負債80億円を上回ります。設立以来、経常赤字はないと会社は説明しています。

自己資本比率は55.7%。営業CFは17期すべてプラスです(📊の表B。直近期の投資との差し引きは⚖️⑤のとおりです)。会社は説明会資料に、こう記しています。「1953年設立以来、時代の変化・ニーズに合わせ、様々な業界に製商品を提供し続けた結果、経常利益ベースでの赤字は一度もございません」。リーマン・ショックもコロナ禍も、赤字にならずに通ってきた記録です。

③ 販売先は2万社超。会社は「特定の業界の景気に左右されにくい」と説明し、需要の大元は建設投資と重なります。

産業資材だけで約17,000社、グループ全体では2万社を超える販売先があります。取り扱いは約5万点、拠点は106。会社は産業資材について「多様な業界に販売することで、特定の業界の景気に左右されにくく、業績は安定しております」と説明しています。リーマン・ショック直後の2010年3月期も、コロナ禍の2021年3月期も、営業利益は黒字でした。需要の大元が建設投資と重なることは、⚖️④のとおりです。

気をつけたいところも、支えになりそうなところも、いまある事実です。この両方を次の決算からどう確かめるかを、📌の章にまとめました。

📌 次に見ようと思っているポイント

これからの決算で、私はこんなところを見ようと思っています。予想ではなく、「どの資料の、どの数字を見るか」の話です。

① DOE3.6%が、中長期の目標4.0%以上へどう近づいていくか。

毎年の決算短信の「配当の状況」に、純資産配当率(DOE=純資産に対する配当の割合)の実績が載ります。2024年3月期の3.1%から、2年で3.6%まで来ました。これは私の読みですが、いまの年6円ペースの増配には、この目標への距離が効いているように見えます。ただ、4.0%は「以上」の下限です(年限が示されていないことは、🧭のとおりです)。届いたあとに増配の幅がどうなるかの開示もありません。だから、そこを見ます。(DOE4.0%以上は会社の目標であり、達成が約束されたものではありません。)次の本決算は、2027年5月です。

② 鉄構資材の減益が止まるか。足場工事が、計画どおり増益に戻るか。

半期ごとの決算短信と決算説明資料の、セグメント利益の欄です。会社計画は、鉄構資材11.8億円・足場工事1.5億円。減益の計画は鉄構資材(5.6%減)と電設資材(3.3%減)の2つで、足場工事は増益への転換を見込みます。全社では、上期は営業減益(3.6%減)・通期で増益という計画の形です。全社の増配は、最終的に純利益しだいです(⚖️①)。中間決算は例年11月。計画との差を、そこで確かめます。

③ 2025年に仲間入りした鈴東と琉球ブリッジの仕事が、グループの決算にどう表れてくるか。

2社が加わって最初の通期が、2027年3月期です。決算短信のセグメント別の説明と、特別損失の欄を見ます。協業が形になれば足場工事や産業資材の数字に表れ、想定を下回れば、過去2回あったのれんの減損として出てきます。あわせて見たいのが、自己株式取得です。「機動的に実施」が方針で、2022年3月期には6.1億円の取得実績がありました。次の実施があるかどうかが、還元の実行の目印だと思っています。

もし「ここも見ると良いよ」という数字をご存じの方がいらっしゃいましたら、教えていただけるとうれしいです。

🔍 もう少し深く ― 工事現場の数は、どうなっているのか

お急ぎの方は、この章を飛ばして「おわりに」まで進んでいただいて大丈夫です。⚖️の章で「新しく建てる量は減っている」と書きました。会社の資料の外側——公的な統計の推移で、その土台を確かめます。

会社の数字 ― 売る数は減り、価格の上昇と買収が補いました

まず会社側の実測から。主力の産業資材について、短信は「建設需要が全体的に伸び悩んだことに伴い販売数量が減少したものの」、価格転嫁と子会社化で増収になったと説明しています。営業利益の増減分析(単体ベース)でも、販売数量の影響はマイナス1.2億円、販売価格の影響はプラス4.8億円。売上には、鈴東・琉球ブリッジの子会社化のプラス6.6億円も乗りました。売る数は減り、価格の上昇と買収が補った——この形を頭に置いて、世の中の統計を見てみます。

土台① 建設投資は75兆円へ増えました。ただし「量」は、10年前からほぼ横ばいです

国土交通省の建設投資見通しによると、2025年度の建設投資は名目75.5兆円の見通しで、2010年度の41.9兆円から8割増えました(この章の増減率は、公表値から算出しています)。ところが、物価の影響を除いた実質(2015年度基準)でみると、2015年度の56.6兆円に対して2025年度は57.2兆円。この10年、工事の量はほぼ横ばいです。増えたのは金額のほう、つまり単価でした。主力の産業資材で起きている「数量マイナス・価格プラス」は、この市場全体の姿と重なります。

土台② 新しく建てるほうは、はっきり減っています

新設住宅の着工戸数は、直近の山だった2013年度の98.7万戸から、2025年度は71.1万戸へ3割近く減りました。2025年度だけで、前年度比12.9%の減少です。鉄構資材の土台になる鉄骨造の着工床面積も、2013年の5,152万㎡から2025年は3,383万㎡へ34%減っています。鉄構資材の3期連続減益(⚖️③)の後ろには、この母数の縮小があります。

土台③ 直すほうは、実質でも6割増えました

反対に伸びているのが、建てた後の投資です。同じ建設投資見通しで、建築補修(改装・改修)投資は2015年度の7.5兆円から2025年度は15.7兆円の見通しへ、名目で2倍になりました。物価の影響を除いた実質でも、7.5兆円から11.8兆円へ6割近く増えています。国土交通省は、建築投資全体の約30%を補修が占めるとしています。インフラの側も、建設後50年以上経過する道路橋の割合は2025年3月の約42%から2040年3月には約75%へ高まる見込みです(国土交通省の公表資料より。建設年度不明の施設を除いた割合です)。

新築の現場が減り、直す現場が増える。会社が足場工事を独立したセグメントにし、補修・レンタル・橋梁土木への注力を掲げた方向(🧭)は、この統計と同じ向きです。足場工事の売上のうち橋梁・土木向けは、3.8億円から5.7億円へ増えました(2025→2026年3月期・会社開示。上田建設の連結が通期になった影響を含みます)。とはいえ、この5.7億円は全社売上の0.6%。工事売上の主役はまだ大型物件(62%)で、維持修繕の側へ重心を移すのはこれからです。

土台④ 造る人手は、ピークから3割減りました

総務省の労働力調査によると、建設業の就業者は1997年の685万人を頂点に、2025年は478万人。約3割の減少です。年齢の構成も、55歳以上が36.6%と全産業(32.8%)より高く、29歳以下は11.9%にとどまります(国土交通省が労働力調査をもとに作成した資料より)。人手が減る現場で選ばれやすいのは、施工の手間を減らす資材やレンタルです。会社が注力分野に掲げる「省力化・省人化、軽量化」は、この統計と同じ向きにあります。ただし人手不足は、会社自身の工事部門の外注費や人件費を押し上げる要因でもあります。同じ統計が、追い風にも向かい風にもなります。

測れなかったもの

金物や建設資材卸というくくりの市場規模は、公的統計からは取り出せませんでした。ターンバックルブレース市場約120億円でシェア38.9%、アンカーボルト市場約30億円で33.7%。これらは会社の「当社調べ」の値で、公的な裏付けはありません。かわりに追える数字は、会社の開示の中にあります。自然災害関連資材の売上、アンカー施工の売上、そして足場工事の受注残の3つです。土台の変化を最初に映すのは、この3つだと見ています。

☕ おわりに

「コンドーテック(7438)は、これからも増配を続けられそうか」。この問いに、未来を予測して答えることはできません。

確かなのは、確かめた17期に減配がなく、リーマン・ショックにもコロナ禍にも増配で応えてきた実績です(会社はさらに長く「上場来減配なし」と説明しています)。配当の目安を段階的に引き上げ、そのつど文書で開示してきた歴史も、それを支えます。気がかりなのは、直近3期の利益がほぼ横ばいのまま、目標主導の増配が先に進んでいること。そして投資と還元を支える借入が、この10年で増えてきたことです(手元の現金が有利子負債を上回る状態は続いています)。

私のものさしは、会社自身が説明した増配の仕組みです。利益が純資産を増やし、純資産がDOE4.0%以上という目安を通じて配当を決める。この循環が回り続けるかは、結局のところ利益の伸びにかかっています。だから私は、DOEの歩みと、減益が続く事業の下げ止まりを、半期ごとに確かめていきます。

みなさんは、どう考えますか。

どなたかの参考になればうれしいです🌵

出典・一次ソース

免責

この記事は、個人の観察記録であり、投資助言や特定の銘柄の売買の推奨ではありません。数値は記事中に明記した時点のもので、内容の正確性・最新性を保証するものではありません。過去の実績は将来の配当や株価を保証せず、会社の計画・目標は達成が約束されたものではありません。記事中の試算は前提つきの参考値です。投資の判断はご自身でお願いします。

著者:ミーナ/更新日:2026-09-06

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